tsukiyomidou’s blog

月よみ堂の店主です。「本やお酒にまつわるあれこれ」について書いています。

ウイスキーとサンドウィッチと読書

格別に「サンドウィッチが好き」

というわけではないのだけれど、

無性に食べたくなる時がある。

それは大抵、ウイスキーを飲んでいる時。

逆もまた然り。

サンドウィッチがあるとウイスキーを飲みたくなる。

 

いつから、そんな風になってしまったのだろう。

と思いを馳せて、記憶を辿っていたら、

昨年(2015年)の12月、

たまの息抜きと称して、

2日間の休暇を取った時のことを思い出した。

 

行き先は、お茶の水にある「山の上ホテル」。

家は都内だから、帰ることも出来る距離なのに、

「わざわざ宿泊をする」という

ささやかな贅沢を試みたのであった。

 

ホテルにチェックイン後、

本好きなら誰しも憧れ(であるはず)の

バーノンノンに直行し、

2杯ほどいただいた。

日曜の夜の早い時間、ということもあり、

想像していたよりも空いており、

ゆっくり楽しむことができた。

 

「さて。夜はこれからだ。」

と、出かけた先は、

帝国ホテルの、オールドインペリアルバー。

・・・そう。ホテルのはしごである。

 

私はここの、

グロールシュビールとクラブハウスサンド

心から愛しているので、

いつ来ても大抵ファーストオーダーは変わらない。

「ビールとクラブハウスサンドを」

 

1杯目のビールの次は、

残っているクラブハウスサンドに合わせて、

ウイスキーのソーダ割をオーダーする。

大抵は、ラフロイグ

ラフロイグをソーダで割るなんて!

という声が聞こえてきそうだけれど、

(その気持ちはわかります)

ラフロイグはソーダで割ると、

ほのかな甘みが出てとても美味しくなります。

(勿論、ソーダを入れすぎては駄目)

そしてそれは、サンドウィッチにとても合うのです。

だから私が、ウイスキーとサンドウィッチの

組み合わせに目覚めたのは、このBarのせいだといっていい。

 

村上春樹の描く小説の主人公に言わせると

「良いBarには大抵美味しいオムレツがあるのさ」

ということになるのだけれど、

ここでは、クラブハウスサンドが頂けるし、

いうまでもないことですが、

とても良いBarです。

 

話を戻しますが、

ウイスキーとサンドウィッチの組み合わせについて。

 

これは、かねがね黄金の組み合わせだ!と、

信じて疑わなかったのだけれど、

同じようなことを書かれている本を見つけて

嬉しい気持ちになったことがあった。

 

「今宵もウイスキー」(新潮文庫

ウイスキーにまつわる話17篇を集めた

 アンソロジーである)という本。

この中の一つ、黒澤和子氏が父である黒澤明

酒飲みっぷりを紹介している

ウイスキー命 ―黒澤明の食卓 

という章です。

 

大酒飲みで知られる黒澤明監督も

大のウイスキー好きであった。

お酒の飲みっぷり、合わせるつまみについてまで、

色々書かれているのだけど、

殊に「ウイスキー片手にサンドウィッチ」の1節は、

読みながら、居てもたってもいられなくなる。

 

「今すぐに、

私にも、ウイスキーとサンドウィッチを!」と

叫びたくなる。

 

「大変な仕事が終わった休息のとき、

ウイスキーグラスとサンドウィッチを交互にもち

ミステリーを読み耽る、『いやーいい気分なんだ』と父」

黒澤和子氏はこう締めくくっている。

 

まさに、おっしゃる通り。

美味しいし、良い気分なのです。

(そして、本も読みやすい!)

 

ウイスキーとサンドウィッチと読書の組み合わせ。

おおすすめです。

 

「じゃあ、勿論月よみ堂のメニューにも

サンドウィッチがあるのよね?」と、

期待してしまう人がいるかもしれないけれど、

それはまた、別の話です。。。

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